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2014-06-09

Pinterestのグロースチームが活用する4つの分析フォーマット

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Pinterestのオフィシャル開発ブログの「いかにPiterestが持続的なグロースを実現しているかHow Pinterest drives sustainable growth)」という素敵なエントリーでグロースチームが継続的に追っている4つのログフォーマットが紹介されていました。

  1. user state transitions
  2. Xd28s
  3. cohort heat maps
  4. conversion funnels

最後の2つは割とポピュラーだと思うのですが、前半2つの「user state transitions / Xd28s」ってなんぞやって感じだと思うので、4つまとめてご紹介したいと思います。

1.user state transitions

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曰く、これがPinterestのグロースチームの中で最も重要なチャートとのこと。まず前提条件ですが、Pinterestでは「28日」使わなかったユーザーを「休眠」してしまったユーザーと定義しています。つまり4週間分。彼らは1週間単位の分析がメインのようで、week by weekそして4週間分の「28日」という数字がキモみたいですね。さて、このチャートのポイントはいわゆるMAUの増減(グラフ上の水色)を以下の4つに因数分解し、なぜMAUが増えたのか、減ったのかを1週間単位で追えるようにしています。

  1. New signup(緑): 新規登録ユーザー
  2. New to Dormant(紫): 新規登録してから28日間使わずに休眠してしまったユーザー
  3. MAU to Dormant(青): アクティブユーザーだったが、使わなくなってから28日経ってしまったユーザー
  4. Dormant to MAU(赤): 28日以上の休眠期間を経て再度アクティブになったユーザー

チャート上の4つのデータを合計したものが水色のMAUの増減値ということになります。このチャートを使うことによってどこでユーザーを失っていて、どこでユーザーが増えていて、という健康状態をMAUの増減ではなく、より具体的に把握ことができます。その上で、グロースチームとしてどこにリソースをフォーカスして改善を行うかの意思決定ができるというわけですね。例えば紫のNew to Dormantのユーザーが増加しているのであれば、最初のユーザー体験の改善にチームはフォーカスすべきということになります。グロースチームの羅針盤といったところでしょうか。

2.Xd28s

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こちらのチャートはユーザーのスティッキネス(定着度)を特定のセグメント分けによって分類することによって、そのサービスのエンゲージメントをモニタリングします。「Xd28s」とは、過去28日間にX日アクティブだったユーザーを分類して分析するフォーマットです。

  1. 4d28s+/MAU(青): 過去28日間に4日以上アクティブだったユーザーの割合
  2. 14d28s+/MAU(赤): 過去28日間に14日以上アクティブだったユーザーの割合
  3. <4d28s+/MAU(緑): 過去28日間にアクティブだった日が4日未満のユーザーの割合

このチャートを活用するにあたっていくつかポイントはあると思いますが、すぐに改善につながる兆しを見つけるため、そして各数字を比較しやすくするためにあくまで「割合」を用います。このあたりは下記エントリーをご参考に。
 >>なぜ機能するKPIは割合や比率でないといけないのか?
また、この「4」「14」「28」という数字はPinterestのサービス特性を踏まえて色々試行錯誤して決めた数字だと思いますが、自社のサービスに適用する際はよりそのサービス特性にあった日数設定がキモとなりそうです。例えば利用頻度の高いモバイルアプリであれば、過去7日間で5日以上、3日以上、3日未満という日数設定にして、より改善サイクルを早められることが想定できます。改善につなげるためには、チャートとしてより動きのある日数設定が求められます。

3.cohort heat maps

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こちらはもはやメジャーな分析フォーマットですね。国内の解析ツールでもParty trackやFOXなどで実装されていますが、いわゆるコホート(主に新規ユーザー単位)でのリテンション率をヒートマップ形式でひと目でわかるようにしたものです。このグラフの例で言えば、4月1日あたりで赤いリテンション率の高い部分が少なくなっているので、この期間の新規ユーザーの最初のユーザー体験に何か異変があったことが読み取れますね。

4.conversion funnels

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こちらもメジャーなコンバージョンファンネルによる分析フォーマット。コンバージョンファンネルの良いところは特定のコンバージョンに至る各ステップにおいてどこで離脱しているか、つまりスタックの要因となっている改善ポイントを見つけやすいことですね。ちなみにPinterestでは会員登録のランディングページとシェア、招待のフローで用いているそうです。

あらためて大事だと思い知らされるのは、あくまで「改善のアクションにつながるためのモニタリング」ということ。分析のための分析ではなく、グロースにつながる分析フォーマット。こういった事例を導入する上でも、その目線が何より大事だと思います。

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