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【実例100選】GrowthHackのハンドブック

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グロースハックネタを100個まとめた素敵なebookがあったので思わずポチっ。ブロガーが活用するような小ネタからyoutubeやfacebookのグロース事例など大小様々ですが、1ページに1ハックづつ、なぜ使うべきなのか(Why should I do this?)、誰が他に使っているのか(Who else is doing this?)と共通フォーマットでまとめてあるのでまさにハンドブック。ほんのいくつかをピックアップしますが、これを自分のサービスに当てはめるとどうなるかなぁ、という軽い感じで一気に流し読みするのがオススメ。kindleで買えます。

Growth Hacking Handbook: 100 practical startup growth tactics

The My Name is Company Hack

ありとあらゆるWeb上のコメントの名前を、例えば「John Smith」ではなく「John Smith @Company」にして社名を覚えてもらおうというかなりアーリースタートアップ向けなsmall hackですが、こういう地道な活動は大事ですね。本書の他の事例でも出てきますがQuoraで発言したり、自らBlogなどでコンテンツを発信したり、その業界で存在感を出すことは結果的にプロダクトのグロースに還元できるオフラインな効力も多いはず。

The Powerpoint Hack

こちらもかなりsmall hackなのですが面白かったので。例えば書いたブログ記事を`PowerpointやkeynoteでスライドにしてslideshareにUPすればさらに検索に対して網を貼ることができ、embedで他のブログでも引用されやすくなりますよというもの。アナリティクスツールのKISSmetricsはこのハックを多用しているとのこと。確かにシンプルなスライドは引用しやすいですよね。

The YouTube SERP Hack

名前から察する通り、上記Powerpointと同様に自社サービスに何らか関連する動画をyoutubeにアップしてコンバージョンにつなげようと言うもの。特にGoogle Searchには効果ありそうですね。例えばフリマアプリだったら、「最も良く商品をアピールする写真の撮り方とアピールできるフリマアプリ」みたいな感じですかね。まぁこれじゃステマギリギリか。

The Little Bighorn Hack

もし狙っているコアターゲットにアプローチが難しいならば、まずはアプローチしやすい似たようなターゲットからサービスを育てよう的なハック。Facebookは(結果的に?)最も身近なチャネルの大学生をターゲットとしたネットワークでサービスをPMFさせ、その後さらに広範囲にグロースさせていきましたね。良くある新規事業案でありがちな落とし穴が圧倒的なチャネルの弱さ。どうやってそのターゲットに効率的にアプローチするかはサービスが解決したい課題と同じくらい大事だと思います。

The Share The Good News Hack

ユーザーがそのサービスの価値を実感したタイミングで、そのサービスをemailやsocial mediaで紹介してもらうようアプローチするというハック。この”タイミング”が大事ですね。アプリでもストアへのレビューを促すアラートビューや、同様にアプリ自体のシェアを促すアラートビューを良く見かけますが、どちらも最もユーザーが「このサービスは素晴らしい!」と思ったタイミングでそのアラートを出すかというデザインが大事ですね。

The Winback Hack

非アクティブになってしまったユーザーにインセンティブ付きのemailを送ろう、というECで良くあるあれです。インセンティブのデザインはどうあれ、非アクティブになってしまったユーザーをRe-Activationさせるのはグロースにおいて非常に大事なアプローチだと思います。登録系のサービスならmailで、アプリならPushで、最後のアクセスから特定の日にちが経ったら○○、というのが効きそうです。

The Aha Moment Hack

ユーザーがそのプロダクトを理解し、最初にはじめて大きな価値を感じたタイミングを理解してハックしようというもの。こちらのエントリーで書いた内容ですね。

The Thank You Hack

ザッポスやディズニー、リッツカールトン的なやつです。正直これは小手先かつ定型文でどうにかハックできるものでは無いのですが、短期的なグロースよりも中長期的なグロース/ブランディングにおいて意識的に、戦略的にプロダクトに仕込んでいきたいものですね。evernoteのアンバサダーマーケティングなどはその延長線上を仕組化した事例かもしれません。

The Turbo Hack

とにかくSpeedを上げろというハック。例えばAmazonは表示速度が0.1秒遅いと100万ドルの損失があるそうで、これぐらいの規模になるとそのインパクトは絶大ですね。もちろんAmazonほどの規模がなくとも、「0.1秒でも表示を早く」、そして「サービスがダウンしない」というのはグロースを支えるベース(土台)としてものすごく大事だと思います。

ちなみに本書の著者Jon Yongfookさんは以前日本に10年住んでいてクックパッドさんなど日本の企業にジョインしています。なのでmixiやアメブロなど日本の事例もいくつか出てきたり。さらにこの本はクラウドファンディングによってebookになったそうで、自ら行動を起こすには本当に素晴らしい環境ですね。

なぜ機能するKPIは割合や比率でないといけないのか?

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流し読みしかしていなかった「Lean Analytics」ですが、あらためてしっかり読んでみると仮説と検証/データドリブンのチームを作る上で大切な”指標、計測、分析”の本質がチラホラ。

意外と間違いが多いKPI設定における3つのポイントをメモ。

なぜ、KPIは割合(ratio)や比率(rate)でないといけないのか。

1.Ratios are easier to act on(割合は行動を容易にする)

車の運転を思い浮かべるといい。目的地までの「距離」はとても大事な情報だが、「スピード(時間/距離)」は今の状態を教えてくれる指標なのですぐに運転にフィードバックできる。今のスピードが分かれば、目標の時間までに目的地に着くために急いだり、ゆっくりしたり行動を変えることができる。

2.Ratios are inherently comparative(割合は本質的に比較しやすい)

スピードという指標は、今のスピードと平均のスピードを比較することによって加速すべきか、スローダウンすべきかすぐに教えてくれる。突然のスパイクなのか、長いトレンドなのかがひと目でわかる。

3.Ratios are also good for comparing factors that are somehow opposed, or for which there’s an inherent tension(割合はまた、反対要因や本質的な緊張を保つ上での良い比較指標)

これは車に例えると高速チケットで割った移動距離かもしれない。より早く着くためにはよりたくさんの高速チケットが必要になる。割合は、スピードリミットを越えるか越えないかを提案してくれる。

よくわかるレストラン経営の事例

本書で出てくる”Solare Ristrante”の事例がより分かりやすい。このレストランでは次のKPIをおいています。

KPI=スタッフコスト/合計売り上げ

実はこのKPIは外食産業では良く知られたものだそう。このKPIの良いところは

・スタッフコストも売り上げもどちらもコントローラブル
・業界的にベースライン(30% )が知られている

という点があげられます。この「割合」指標の利点をまとめると

Simple:たったひとつの指標
Immediate:毎晩すぐに確認できる
Actionable:スタッフを変更したりアップセルを試みたり毎晩チューニングができる
Comparable:毎晩比較ができ、業界平均とも比較できる
Fundamental:レストランビジネスモデルの二つの基本的な側面を反映している

KPIにしてはいけない8つの指標

ちなみに本書ではKPIにしてはいけない指標に関しても言及していますので、補足メモ。

Number of hits(ヒット数)
Number of page views(PV数)
Number of visits(訪問者数)
Number of unique visitors(ユニークビジター数)
Number of followers/friends/likes(フォロワー数/フレンド数/like数)
Time on site/number of pages(滞在時間)
Emails collected(集めたメールアドレス数)
Number of downloads(ダウンロード数)

昨日の数字ではなく明日の数字、昨日の顧客ではなく明日の顧客のために、遅行指標ではなく先行指標に注視しましょう。

 > こちらも参考に:Pinterestのグロースチームが活用する4つの分析フォーマット

Lean Analytics: Use Data to Build a Better Startup Faster (Lean Series)

GrowthHackにおいて一番大事なこと

踊る、バズワードの「GrowthHack」。

GrowthHackって言うから、何かバイラル的な新規ユーザー獲得のテクニックの話が多くなりがちですよね。もちろんそれも大事な一部ではあると思いますが。

本質的に大事なのはサービスをいかに“持続的に”成長させられるか。

因数分解すると、

いかに新規獲得を増やして、いかに離脱を減らすか。それを持続的に。

これに尽きます。もの凄く普通のことですが、この認識大事。

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割と派手なオフェンス(新規獲得)のテクニック=GrowthHackと思われがちですが、ディフェンス(離脱改善)こそが肝だと思います。Product Market Fit(PMF)という言い方もしますが、サービスがトラクション(しっかり地面に粘着)状態になってはじめてオフェンス(新規獲得)に徹することができる、つまりバケツの穴を十分に塞いだ状態ではじめて大量に水を流し込むことができます。

そこで、ディフェンスにおいて一番大事なことは何か。

それは正しい改善KPIの設定だと思います。どのKPIを改善することが最も「サービスの継続率=成長の傾き」を高めることができるか、これを突き止めることが何よりも大事なGrowthHackだと思います。それはサービスによって異なる特殊解なので、様々なデータと文脈から絶妙な仮説を導き出すしかありません。具体的なステップは以下のように考えます。

1.最も粘着しているユーザーに共通している振る舞いを探す
2.その振る舞いをKPIに落としこむ
3.KPIが改善すると思われる仮説を実装する(大事なのはMVPマインド!)
4.その施策でKPIが改善するかを確認、改善すれば5へ、しなければ3へ戻る
5.新規ユーザーにおいて3の前後での継続率の変化を確認する

ここ1を便宜的にUser behavior for Sustainable Growth(以下USG)と呼ぶことにします。先ほども書きましたが、この自社のサービスにおけるUSGを見つけることこそ、GrowthHackにおいて一番大事なことだと思います。

以下に、簡単にFacebookとTwitterの有名なUSGをサクッと紹介します。

【事例1】ユーザーのつながりに着目したFacebook

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Facebookの場合、USGは機能でもコンテンツでもなく、ユーザーの繋がりに根ざしたものでした。つまり、継続率が高いユーザーに共通しているマジックナンバーを以下のように見つけたのです。

【USG】登録から10日以内に7人以上の友人と友達になること

そこで、10日以内に7人以上の友人と友達になる割合をKPIとして設定し、このKPIが改善する施策のみに全リソースを投入したそうです。男前。

[参照]Greg Buckner shared: Andy Johns’ “The Case for User Growth Teams”

【事例2】こちらもユーザーのつながりが大事だったTwitter

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Twitterにおいてはどれだけツイートしたかではなく、どんな人をフォローしたか、それが高い継続率を生むユーザーの共通点だったそうですね。

【USG】最適なユーザーを5〜10名最初にフォローすること

Sing upする時に最初にユーザーを5人以上フォローさせるのはこのUSGによる施策。この精度をいかに高めるかが獲得したユーザーの継続率を高め、無駄無く成長するかの鍵になるわけです。

[参照]Growth Hacking Basics

USGの発見によるセンターピンとなるKPIの設定、そのKPI改善のための最適な施策。これが実現できてはじめてGrowthHackにおける完璧なディフェンスが完成します。あとは一気に攻めるだけ。オフェンスはその時代のプラットフォームなどにも依存しますが、ディフェンスはある意味自らの身体と向き合う普遍的なメンテナンス作法。万全な健康状態にする術を見つけ、実行することことが優れたGrowthHackと言えるでしょう。