カテゴリー別アーカイブ: startup

なぜ機能するKPIは割合や比率でないといけないのか?

medium_65807121

流し読みしかしていなかった「Lean Analytics」ですが、あらためてしっかり読んでみると仮説と検証/データドリブンのチームを作る上で大切な”指標、計測、分析”の本質がチラホラ。

意外と間違いが多いKPI設定における3つのポイントをメモ。

なぜ、KPIは割合(ratio)や比率(rate)でないといけないのか。

1.Ratios are easier to act on(割合は行動を容易にする)

車の運転を思い浮かべるといい。目的地までの「距離」はとても大事な情報だが、「スピード(時間/距離)」は今の状態を教えてくれる指標なのですぐに運転にフィードバックできる。今のスピードが分かれば、目標の時間までに目的地に着くために急いだり、ゆっくりしたり行動を変えることができる。

2.Ratios are inherently comparative(割合は本質的に比較しやすい)

スピードという指標は、今のスピードと平均のスピードを比較することによって加速すべきか、スローダウンすべきかすぐに教えてくれる。突然のスパイクなのか、長いトレンドなのかがひと目でわかる。

3.Ratios are also good for comparing factors that are somehow opposed, or for which there’s an inherent tension(割合はまた、反対要因や本質的な緊張を保つ上での良い比較指標)

これは車に例えると高速チケットで割った移動距離かもしれない。より早く着くためにはよりたくさんの高速チケットが必要になる。割合は、スピードリミットを越えるか越えないかを提案してくれる。

よくわかるレストラン経営の事例

本書で出てくる”Solare Ristrante”の事例がより分かりやすい。このレストランでは次のKPIをおいています。

KPI=スタッフコスト/合計売り上げ

実はこのKPIは外食産業では良く知られたものだそう。このKPIの良いところは

・スタッフコストも売り上げもどちらもコントローラブル
・業界的にベースライン(30% )が知られている

という点があげられます。この「割合」指標の利点をまとめると

Simple:たったひとつの指標
Immediate:毎晩すぐに確認できる
Actionable:スタッフを変更したりアップセルを試みたり毎晩チューニングができる
Comparable:毎晩比較ができ、業界平均とも比較できる
Fundamental:レストランビジネスモデルの二つの基本的な側面を反映している

KPIにしてはいけない8つの指標

ちなみに本書ではKPIにしてはいけない指標に関しても言及していますので、補足メモ。

Number of hits(ヒット数)
Number of page views(PV数)
Number of visits(訪問者数)
Number of unique visitors(ユニークビジター数)
Number of followers/friends/likes(フォロワー数/フレンド数/like数)
Time on site/number of pages(滞在時間)
Emails collected(集めたメールアドレス数)
Number of downloads(ダウンロード数)

昨日の数字ではなく明日の数字、昨日の顧客ではなく明日の顧客のために、遅行指標ではなく先行指標に注視しましょう。

 > こちらも参考に:Pinterestのグロースチームが活用する4つの分析フォーマット

Lean Analytics: Use Data to Build a Better Startup Faster (Lean Series)

セブンイレブンに学ぶ、勝ち続けるスタートアップの作り方〜④鈴木会長の金言まとめ〜

toshifumi_suzuki
Photo by bloomberg

他店を見学するな。

この言葉の真意は、”下手に他店を見学して表面上の差別化を図ったところで、大同小異に陥る”という警告。

スタートアップが常勝セブンイレブンから学ぶべきは、表面的な戦略ではなく、もっと普遍的な、再現性の高い商売の基本コンセプト/考え方。そんなエッセンスがつまった鈴木会長の発言をまとめてみる。ある意味、備忘録。

1.消費者視点

気がつくとサプライサイドは自らの都合をユーザーに押し付けていることが多々あります。様々な制約条件によって我々の常識が、いざユーザー視点に立った時にまったくもって非常識なことがあることを、常に意識しなければなりません。

”売り手の合理は買い手の不合理。お客様のわがままに対して、われわれはどこまで歩調を合わせることができるかどうか。売り手側はほとんどの場合、自分たちの都合を優先してしまう。”

”社員も一歩会社から離れれば生活者であり、買い手です。買い手としては自分たちの消費パターンが全く変わり、ニーズが劇的に変化していることを誰もが実感している。ところが、仕事になると一点、売り手側の都合にすり替わり過去の延長で考えてしまう。”

”人は良く売れた商品をまた揃えようとする。それは”昨日の顧客”に対する商売の仕方で、大切なのは”明日の顧客”は何を求めているかを考え抜くこと”

”これはチャーハンとは言えない。売れてるからいいのか!?自分たちが納得いかない商品が売れ続けていることに危機感を持つべきではないのか?”

2.絶対価値

競合を意識しすぎると同質化を生む。結局差別化するつもりが、同じ土俵で相撲を取っていては本当に向き合うべきユーザー価値を見失う。厳しい競合環境を勝ち抜くために必要なのは、とくかく絶対的なユーザー体験の向上に努めること。すなわち、相対価値ではなく絶対価値の追求。

”競争の時代における本当の差別化は、妥協の無い絶対の追求によってしか生まれない。”

”われわれの競争相手は同業他社ではなく、最大の競争相手は目まぐるしく変化する顧客ニーズである”

”質の追求を、その構成要素の一つひとつについて子細にやっていけば、競合の中で売り上げが急激に下がるということはない。逆に、まわりに競合店ができたために、よけいに自店の質の高いことが照明されて、むしろ業績が上がる場合もある。”

”競合ができて売り上げが下がるのは、競合のせいではなく、お客様から見て、その店の価値比較をできる物差しができた結果にすぎない。”

”ハウツー本は読むべきではない。そんなのものは過去のことをまとめているだけであり、新しい時代に向かって何の役にも立たない。そういうのを読むからとらわれるんだ。”

3.基本の徹底

家も、スポーツも、すべては土台(基礎)のがしっかりしてはじめて成り立つもの。一見遠回りに見える基本の徹底というアプローチは、短期的に結果が出るものではない分、時間をかけてしっかり築けば少しの環境変化や競合の登場にもビクともしない圧倒的な競合優位性に。

”経営は変化への対応がすべて。だからこそ、これを支えるベース(土台)としての基本が不可欠。基礎体力や基本のできていないところに、応用技はありえない。”

”先に一歩踏み出したところほど、より早くマンネリにおちいる危険性が高い。マンネリへの誘惑を排し、基本を徹底して守り続けることで、結果が後からついてくる。”

”むずかしいのは基本を確実に実行すること。会社が大きくなればなるほど、経験を積めば積むほど、仕事に慣れれば慣れるほど基本がおろそかになる。基本の徹底以外に、仕事を成功させる方法はない。”

〈関連記事〉
セブンイレブンに学ぶ、勝ち続けるスタートアップの作り方〜③商売の基本原則〜
セブンイレブンに学ぶ、勝ち続けるスタートアップの作り方〜②業界初、を目指さない〜
セブンイレブンに学ぶ、勝ち続けるスタートアップの作り方 〜①単品管理とリーンスタートアップ〜