Steve Jobsから学んだ5つのものづくり哲学
2012年最初のエントリー。どんな内容を書こうか色々考えたのですが、2011年のあの出来事も踏まえて、この偉大な起業家に関するエントリーからこの2012年をスタートさせたいと思う。
プレゼン術、交渉力やリーダーシップにライフスタイルなど彼から学ぶべきことは多いですが、そんな彼の中でも何より力強く、これだけの人を惹き付け、素晴らしい製品を生み続けたコアとなっているのが”ものづくり”における哲学であると思います。
私自身、小さい頃から日本の”自動車”におけるものづくりの姿勢に憧れ、様々な夢を描き、誇りを持ってきました。大学院まで続けた自動車に対するものづくりの探求は、今はインターネットという新しい産業におけるソフトウェアというものに形は変えましたが、根っこにある想いは変わりません。ドラえもんの如く、「こんあものがあったらいいな」と思い描いたものを実際に形にする。そしてそれがたくさんの人々の生活を変え、人生を豊かにし、笑顔を作っていく。これがものづくりの醍醐味だと思います。
そんな私のものづくりの姿勢に、自動車からインターネットというフィールドに移って最も影響を受けたのが他ならぬ”Steve Jobs”でした。その明快で折れない彼のものづくりに対する哲学は、日本のメーカー各社に爪の垢を煎じて飲ませたいと思うぐらいガツンと響きました。彼が自動車を”デザイン”したらどんなものになるのか、もはや叶わぬ願いとなってしまいましたが今でも心が躍ります。今 、Jobsに関しては本当に多くの本が書店に並んでいますね。私も彼に関する本から一番多くの学びを得たと思います。そういった時々で学びがあったものは、断片的に思い出してはまた違うところでこんな学びもあったな、というのを繰り返していたので本エントリーは彼から学んだ”ものづくり哲学”をいつでも立ち返れる場所にしたいと思います。
1.ものづくりとは”ものがたり”をつくること
「我々が作っているのはコンピューターではなく、”体験”である」
Jobsのものづくりの対象は”製品”ではない。”製品”は人々のライフスタイルを革新的に変えるような手段でしかなく、ものづくりにおいてフォーカスすべきなのは「どのような”体験”を創るか」ということ。その中心には必ず”人”がいる。ものづくりの対象は製品でも技術でもなく”人”そのもの。その人の日々の生活をどのようにして変えていくのかというストーリーを彼は創っている。
2.集中と簡潔
Jobsは一度、Appleを追放されます。復帰後の彼の仕事に、Jobsの”ものづくりプロセス”におけるエッセンスが詰まっています。彼が行ったのはシンプルだけど、勇気のいる決断。
- 膨らんだ製品群を圧倒的に絞る
- 可能な限り優秀な人材を採用する
- その人材を開発・改善に集中させる
後にこの決断に関して、インタビューでJobsはこう答えています。
「そのすべてがシンプルであるべきだ。集中と簡潔が私のモットー」
Jobsはいつでも何かに集中しようと考える。複雑さを極力排除し、簡潔さを心がける。このモットーを実際に製品に落とし込む際には、次の2つが大事なポイントとなる。
- 機能過多を避ける
- 容易さ、使いやすさに注力する
彼は技術のための技術には興味がなく、機能の詰め込みは絶対にしない。逆にユーザーの立場から設計し、できるだけシンプルで使いやすくなるまで複雑さを切り詰める。彼にとって最も重要な決定は次の一言に集約されまる。
「決断の上で大事なのは、何をするかではなく、何をしないかだ」
Appleとして、フォーカス範囲外の製品やビジネスは絶対にやりません。たとえ市場としてのポテンシャルがあっても。強みがいきないものは断固やらないと判断、Jobsはグッとこらえます。それぞれの判断が正しかったことは歴史が証明していますね。また、Appleは最大数のマシンではなく、最も収益性の高いセグメントを追求します。これもJobs Focusのひとつ。これらを象徴するような彼の有名な言葉、はとても重く、そして深い。
「私は自分たちが手がけなかった製品も、手がけた製品と同じくらい誇りに思っている」
3.デザインとは機能である
デザインとは装飾でも製品の見た目でもない。
「デザインとは”機能”である」
製品がいかに機能するかは、デザインの段階で見極めないといけない。それが何かをデザインするためには、それを理解しなければならない。したがって、ものづくりのプロセスにおいて先ずはそれを良く理解することが大事だと常にJobsは言う。
「いいデザインをしようと思えば、先ず真に理解する必要がある。それが何なのか、心でつかむ必要があるんだ」
また、アップルの製品はシンプルに見えるが、それはある意味正しく、ある意味正しくない。Jobsの復帰以来Appleの主要製品のデザインを統括してきたジョナサン・アイブの言葉。
「信じられないほど複雑な問題を解き明かして、これのどれが難しかったんだと思わせるほど。その解決策を当り前でシンプルに見せることがAppleにおけるデザイン」
このシンプルに行きつく過程ではうんざりするほどのプロトタイプを作っては後戻りの繰り返し。ただ、このやり方が最も健全であり、これが製品を”デザインする”ということ。
4.安住しない。常にイノベーション。
Jobsにとってイノベーションとは創造性のこと。そして、独創的な方法で物事を組み合わせること。
「この業界の人間はあまり多様な経験をしていない。だからつなぎ合わせる点の数が足らず、問題に対する幅広い視野が欠けた直線的な解決策に終わる」
Jobsはデザイン、建築、技術にいつも熱心に取り組み勉強を怠たらず、駐車場を狂ったように走り回ってメルセデスのデザインを注意深く観察したりなどもしばしば。
「レオナルド・ダ・ヴィンチは偉大な芸術家、偉大な科学者だった」
例えばJobsは、iPodの中で一番の売れ筋だった時期に「mini」の生産を打ち切り、より薄型の後継モデル「nano」の開発を開始する。
「普通の人なら、あとは安全にやろうとなる。だがこれが僕らにとっては大きな落とし穴だ。僕らはもっと大胆にチャレンジし続けなければならない」
普通の精神ならこういった決断は中々できない。心の奥底にわき上がる欲求を、Jobsは包み隠さず前進し続けます。そういった覚悟に対する姿勢は、次の言葉に深い学びがあります。
「あともどりできない状況に自分を追い込むんだ、そうしたら後はやるしか無い。何かを捨てないと前には進めない」
5.Think different
最後に。これはもう、言葉がいりませんね。
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クレージーな人たちがいる
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち
四角い穴に 丸い杭を打ちこむように
物事をまるで違う目で見る人たち
彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心をうたれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰もできない
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが
本当に世界を変えているのだから
すげー!日本語版もあるのは全然知らなかったです〜〜