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2014-02-23

セブンイレブンに学ぶ、勝ち続けるスタートアップの作り方〜③商売の基本原則〜

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「商売/経営の変わらない原理原則にこそ、いつでも徹底し、必ず立ち戻るべき本質である。」

古くは経営の神様と言われた松下幸之助さん、最近ではユニクロの柳井正さんでしょうか。
どちらも”基本原則”を現場の末端まで徹底して成功をおさめた経営者という印象を受けますね。

最近研究の対象にしているセブンイレブン、鈴木会長もこういった商売における原理原則を「基本四原則」として何十年も前から徹底しています。
小売り業界で勝ち続けるセブンイレブンが貫いている商売の原理原則はスタートアップ、特にtoCののWEBサービスにも適用できる原理原則なのではないか。それが今回のエントリーの大きな仮説です。

早速、セブンイレブンの「基本四原則」を紹介します。

商売の基本四原則

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1.鮮度管理
2.品揃え
3.クリンリネス(清潔さ)
4.フレンドリーサービス

どれも特段詳しく解説するような難しい項目ではないのは一目瞭然ですね。まさに当たり前すぎる商売の基本原則。ただ、だからこそ徹底するのが難しい。

「先ずは基本に戻り、それを徹底させること。そこから積み上げていくしかない。(鈴木敏文)」

実際この話を受けて複数のコンビニ間で比較してみると、不思議とその違いが見えてきます。店舗によってもちろん差異はありますが、日々これを意識してコンビニを利用していると、やはり一番徹底できていると感じるのはセブンイレブンです。そして、このボディーブローのような蓄積が、顧客へのロイヤリティへとつながっているというのが実感できるようになってきます。

ではそれはどういったメカニズムなのか、WEBサービスにはどのように活かせるのか。それぞれを得られる「ユーザー体験」にフォーカスしてもう少し掘り下げて見ていきましょう。

1.鮮度管理

ユーザー体験:驚きと満足

常に”鮮度”の高い商品を揃えること。旬なもの、鮮度が高いものはその商品本来のポテンシャルをグッと引き上げますね。焼きたてのパン、炊きたてのご飯、揚げたてのパン。どれもがより高い顧客価値を持つことは自明でしょう。ニュースサイトであればより最新のネタ、旬な情報を。ソーシャルメディアでれば友達の最新の情報を。価格比較サイトならば最新の最安値価格を。いかに驚きと満足を与えられ続けるか、コンテンツの質のあくなき追求が鮮度管理です。

2.品揃え

ユーザー体験:がっかりさせない、飽きさせない。

ユーザーが欲しいものを、欲しいと思った時にすぐに届ける。潜在的に欲しいと思うようなものを提示する。折角来店した顧客をがっかりさせずに、期待に応えること。それが品揃えです。最初のエントリー単品管理がまさに利いてくるところですね。WEBサービスであれば、わざわざ訪れてくれたユーザーをがっかりさせないこと。ニュースサイトであればユーザーが求めるカバレッジの高いソースを提示できるか。ソーシャルメディアであればどれだけ友達が使っているか。そして、鮮度の高いコンテンツを最適なタイミングで最適なユーザーに届けるというサービスのアーキテクチャの部分もキモになってきます。

この「鮮度管理」「品揃え」はWEBサービスにおいては”コンテンツ”に関わる基本原則とも言えますね。

「お客様が気がついていないニーズを一緒になって見つけてあげて、それを買って頂き、しかも喜んで頂く。これが次の売り上げにつながっていきます。(鈴木敏文)」

3.クリンリネス

ユーザー体験:不快な思いをさせない

整理整頓され、清潔な店内は気持ちよいですよね。いや、むしろそれば当たり前のように見えるので気づかないことも多いでしょう。逆にちょっとでも汚い店内はものすごく印象に残ると思います。何も不快な思いをさせないで使って頂くこと。これがクリンリネスの大事なポイント。当たり前すぎて気づかない、そうWEBサービスであればサービスがダウンしないこと。UIがシンプルで分かりやすく、迷わないこと。表示速度が早く、サクサク使えること。この店長さんの記事が面白いのですが、こういう地味な努力が実はユーザー体験を向上させているのですね。

4.フレンドリーサービス

ユーザー体験:また来よう、と思わせる

入店するといらっしゃいませと元気な挨拶があること。いつも笑顔が素敵な店員さんがいること。良く行く店では「いつもありがとうございます」と言ってもらえること。こういう「あ、また来よう」と思わせるのがフレンドリーサービスです。WEBサービスであれば会員登録した誕生日にメールが届く、たくさん訪問すると特典がついたりグレードがアップする、はたまた気の利いたユーザーサポートでも良いかもしれません。WEBの世界でも最終的には人と人。そこに「おもてなしの心」が見え隠れする時に、人はまた来ようと思ってくれるんですね。

この「クリンリネス」「フレンドリーサービス」はWEBサービスにおいては使用感や利用体験という”UX”に関わる基本原則ですね。

「お客様にとっての得は、必ず私たちにとっての得にもつながってきます。商売の上手な人と下手な人の差は、ここにある。(鈴木敏文)」

基本四原則の追求こそ絶対価値の追求

基本は簡単だが、徹底するのが難しい。それは組織が大きくなればなるほど、その末端への徹底はより難しくなるでしょう。仕事に慣れれば慣れるほど、経験を積めば積むほど基本が疎かになるもの。だからこそ、少数のスタートアップは基本原則を忠実に遂行していくのに適しているのではないでしょうか。基本四原則を徹底し、サービスの絶対価値をとにかく高めてゆくことに全神経を注ぎ込む。前回のエントリーでポイントだった絶対価値の追求ですね。その基本の徹底、絶対価値の追求による結果、激しい競争環境の中において何が起こるのか。鈴木会長の話は、スッと腹に落ちてきます。

「私たちの店で質を構成しているのは基本四原則です。質の追求を、その構成要素一つひとつについて子細にやっていけば、競合の中で売り上げが急激に下がることは無いはずです。逆に、まわりに競合店ができたために、よけいに自店の質の高いことが照明されて、むしろ業績が上がる場合があるのです。」

GrowthHackで言えば、ディフェンスの部分ですね。バケツの穴を塞ぐこと、そのために必要なのが、鮮度管理であり品揃えでありクリンリネスであり、フレンドリーサービスです。

「スポーツの基礎体力と同じように、日常的につちかった売る力がなければ、なにをやっても効果は期待できません。キャンペーンで景品をつけることで売ろうというやり方は邪道です。せっかく宣伝費を投じてもマイナスになりかねない。そうならないためにも、基礎体力を高めること。つまり、基本四原則を徹底することです。」

いつでも大切なのは基本。立ち戻るべきは原理原則。既にWEBサービスを展開している皆さんも、四つの基本原則にそって自社サービスの棚卸しをしてみてはいかがでしょうか。

〈過去記事〉
セブンイレブンに学ぶ、勝ち続けるスタートアップの作り方〜②業界初、を目指さない〜
セブンイレブンに学ぶ、勝ち続けるスタートアップの作り方 〜①単品管理とリーンスタートアップ〜

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