新たなリワード手法、動画視聴でポイントゲットする「App Trailers」
現在AppStoreにあるアプリケーションの数は約45万を越える。
そんな中で自社のアプリをユーザーに見つけてもらうためには、AppStore
のランキングやオススメに紹介される以外は、なかなか大きくダウンロード
を伸ばす方法は無い。
Admob、Inmobiなどのスマートフォン向けアドネットワークは費用対効果が
読みづらく、チューニングの幅も大きいため中々ハードルが高い。
そんな中で、特にゲーム内のポイントを付与する代わりにアプリをダウンロー
ドさせる”リワード広告”という手法が、主にTapjoyやFlurryが先導する形でUS
では長らくメジャーで費用対効果の高いアプリの露出方法として活用されてきた。
日本でもUSに遅れる形でAdways社のAppdriverを皮切りに、特殊な例でいうと
媒体主導のFreeAppNowなど、リワード用の媒体アプリが増えてきたことで普及
してきている。
ただし、現在リワード広告を取り巻く状況は極めて不安定と言わざるをえない。
ひとつは今年4月に端を発したAppleによるTapjoyリジェクト事件。
ランキングを不当に制御しているとして、Tapjoyの広告を掲載している媒体側
のアプリの審査が通らなくなった。
(※現在は25位以内には入れないようコントロールすることで和解)
また、Web媒体からのリワード広告(Web to App)も、アプリ立ち上げ時にブラウザ
を立ち上げるという荒技でクッキーでの付け合わせが主流となっていたが、直近
だとこちらもAppleによるリジェクトの対象になっている可能性があるとのこと。
特にリワード広告の場合は、どうしても成果の付け合わせのために出稿側の
アプリに専用のSDKを搭載する必要があり、Web to APPの事例では出稿側が
リジェクトの対象となっており、何かとリスクが高いのが大きな課題だ。
このように、インセンティブを付与してアプリのダウンロードをさせる仕組みが
ある種いたちごっこのようになりつつも、手を替え品を替え行われているのは、
“成果報酬型での出稿ニーズがものすごく高いから”という一言に尽きる。
現に成果報酬型広告のクライアント需要と媒体の供給では、特に日本においては
供給が圧倒的に追いついていないのが現状のよう。
また前置きが長くなってしまったのだが、そんな中でまた新しい形でのリワード
媒体がUSで登場したのでご紹介します。
「App Trailers」はその名の通り、アプリのTrailer(紹介ビデオ)を視聴することに
よってポイントが獲得でき、獲得したポイントでAmazon GiftCardなどと交換
できるアプリです。
CheckPiontsのビデオ視聴版といったイメージですね。
リワード広告という軸で本アプリは以下の2つが優れています。
1.成果地点がアプリの起動では無いため、出稿側アプリにSDK搭載の負担が無い
TechCrunchの記事によると、成果地点は紹介ビデオ視聴後の「ダウンロードします
か?」→「Yes」の時だそうです。これが成り立つのは、ユーザーにとってはアプリ
をダウンロードしようがしまいがビデオ視聴でポイントは獲得できるため、「Yes」
と押したユーザーは確実にアプリをダウンロードすることが考えられるからです。
2.マッチング精度の高いユーザーがダウンロードしてくれる
前述の通り、ダウンロードしようがしまいがユーザーはポイントを獲得できるため、
わざわざダウンロードするユーザーはそのアプリに対するモチベーションが高い。
従って、今までのリワード広告のようにとりあえずダウンロードしたけどアプリは
初回起動以外はほとんど使わないという状況は起こりずらい。
逆に、本アプリのリワードという軸での欠点を挙げるとするならば、
いわゆる”ランキング上げ”には適さないとうことだ。成果報酬という形は他のリワー
ドと同じだが、ユーザーの成果地点とダウンロードのアクションポイントが異なる
ため、なかなか大量のダウンロードには結びつかない可能性が高い。
むしろ対Appleに対しては正義であり、現在の”リワード広告”の文脈をふまえた
うまい方法ではあるが、ランキング上げが目的の出稿側から見た場合、媒体の価値は
ダウンロードの”瞬間最大風速力”であり、例えば1日のダウンロード数のポテンシャル
がイコール媒体の価値と言ってよい。
したがって、出稿の目的がランキング上げではなく、たとえばフリーミアムで
いかにARPUの高いユーザーを獲得するかといった指標や、定額制のアプリ(現在
の案件は基本無料のものだが)であれば、ユーザーマッチング精度が高いことは
大きな媒体価値となる。
また、遅かれ早かれAppleの正義に反するような形は、彼らのプラットフォーム上
でビジネスをする以上”リジェクトされる”という認識の基、自社の戦略が短期的な
収益目的か、中長期でのサービス構築なのかをしっかりと把握しておく必要がある
だろう。
コメントを残す