投稿者「HRhacker」のアーカイブ

Pinterestのグロースチームが活用する4つの分析フォーマット

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Pinterestのオフィシャル開発ブログの「いかにPiterestが持続的なグロースを実現しているかHow Pinterest drives sustainable growth)」という素敵なエントリーでグロースチームが継続的に追っている4つのログフォーマットが紹介されていました。

  1. user state transitions
  2. Xd28s
  3. cohort heat maps
  4. conversion funnels

最後の2つは割とポピュラーだと思うのですが、前半2つの「user state transitions / Xd28s」ってなんぞやって感じだと思うので、4つまとめてご紹介したいと思います。

1.user state transitions

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曰く、これがPinterestのグロースチームの中で最も重要なチャートとのこと。まず前提条件ですが、Pinterestでは「28日」使わなかったユーザーを「休眠」してしまったユーザーと定義しています。つまり4週間分。彼らは1週間単位の分析がメインのようで、week by weekそして4週間分の「28日」という数字がキモみたいですね。さて、このチャートのポイントはいわゆるMAUの増減(グラフ上の水色)を以下の4つに因数分解し、なぜMAUが増えたのか、減ったのかを1週間単位で追えるようにしています。

  1. New signup(緑): 新規登録ユーザー
  2. New to Dormant(紫): 新規登録してから28日間使わずに休眠してしまったユーザー
  3. MAU to Dormant(青): アクティブユーザーだったが、使わなくなってから28日経ってしまったユーザー
  4. Dormant to MAU(赤): 28日以上の休眠期間を経て再度アクティブになったユーザー

チャート上の4つのデータを合計したものが水色のMAUの増減値ということになります。このチャートを使うことによってどこでユーザーを失っていて、どこでユーザーが増えていて、という健康状態をMAUの増減ではなく、より具体的に把握ことができます。その上で、グロースチームとしてどこにリソースをフォーカスして改善を行うかの意思決定ができるというわけですね。例えば紫のNew to Dormantのユーザーが増加しているのであれば、最初のユーザー体験の改善にチームはフォーカスすべきということになります。グロースチームの羅針盤といったところでしょうか。

2.Xd28s

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こちらのチャートはユーザーのスティッキネス(定着度)を特定のセグメント分けによって分類することによって、そのサービスのエンゲージメントをモニタリングします。「Xd28s」とは、過去28日間にX日アクティブだったユーザーを分類して分析するフォーマットです。

  1. 4d28s+/MAU(青): 過去28日間に4日以上アクティブだったユーザーの割合
  2. 14d28s+/MAU(赤): 過去28日間に14日以上アクティブだったユーザーの割合
  3. <4d28s+/MAU(緑): 過去28日間にアクティブだった日が4日未満のユーザーの割合

このチャートを活用するにあたっていくつかポイントはあると思いますが、すぐに改善につながる兆しを見つけるため、そして各数字を比較しやすくするためにあくまで「割合」を用います。このあたりは下記エントリーをご参考に。
 >>なぜ機能するKPIは割合や比率でないといけないのか?
また、この「4」「14」「28」という数字はPinterestのサービス特性を踏まえて色々試行錯誤して決めた数字だと思いますが、自社のサービスに適用する際はよりそのサービス特性にあった日数設定がキモとなりそうです。例えば利用頻度の高いモバイルアプリであれば、過去7日間で5日以上、3日以上、3日未満という日数設定にして、より改善サイクルを早められることが想定できます。改善につなげるためには、チャートとしてより動きのある日数設定が求められます。

3.cohort heat maps

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こちらはもはやメジャーな分析フォーマットですね。国内の解析ツールでもParty trackやFOXなどで実装されていますが、いわゆるコホート(主に新規ユーザー単位)でのリテンション率をヒートマップ形式でひと目でわかるようにしたものです。このグラフの例で言えば、4月1日あたりで赤いリテンション率の高い部分が少なくなっているので、この期間の新規ユーザーの最初のユーザー体験に何か異変があったことが読み取れますね。

4.conversion funnels

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こちらもメジャーなコンバージョンファンネルによる分析フォーマット。コンバージョンファンネルの良いところは特定のコンバージョンに至る各ステップにおいてどこで離脱しているか、つまりスタックの要因となっている改善ポイントを見つけやすいことですね。ちなみにPinterestでは会員登録のランディングページとシェア、招待のフローで用いているそうです。

あらためて大事だと思い知らされるのは、あくまで「改善のアクションにつながるためのモニタリング」ということ。分析のための分析ではなく、グロースにつながる分析フォーマット。こういった事例を導入する上でも、その目線が何より大事だと思います。

【実例100選】GrowthHackのハンドブック

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グロースハックネタを100個まとめた素敵なebookがあったので思わずポチっ。ブロガーが活用するような小ネタからyoutubeやfacebookのグロース事例など大小様々ですが、1ページに1ハックづつ、なぜ使うべきなのか(Why should I do this?)、誰が他に使っているのか(Who else is doing this?)と共通フォーマットでまとめてあるのでまさにハンドブック。ほんのいくつかをピックアップしますが、これを自分のサービスに当てはめるとどうなるかなぁ、という軽い感じで一気に流し読みするのがオススメ。kindleで買えます。

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The My Name is Company Hack

ありとあらゆるWeb上のコメントの名前を、例えば「John Smith」ではなく「John Smith @Company」にして社名を覚えてもらおうというかなりアーリースタートアップ向けなsmall hackですが、こういう地道な活動は大事ですね。本書の他の事例でも出てきますがQuoraで発言したり、自らBlogなどでコンテンツを発信したり、その業界で存在感を出すことは結果的にプロダクトのグロースに還元できるオフラインな効力も多いはず。

The Powerpoint Hack

こちらもかなりsmall hackなのですが面白かったので。例えば書いたブログ記事を`PowerpointやkeynoteでスライドにしてslideshareにUPすればさらに検索に対して網を貼ることができ、embedで他のブログでも引用されやすくなりますよというもの。アナリティクスツールのKISSmetricsはこのハックを多用しているとのこと。確かにシンプルなスライドは引用しやすいですよね。

The YouTube SERP Hack

名前から察する通り、上記Powerpointと同様に自社サービスに何らか関連する動画をyoutubeにアップしてコンバージョンにつなげようと言うもの。特にGoogle Searchには効果ありそうですね。例えばフリマアプリだったら、「最も良く商品をアピールする写真の撮り方とアピールできるフリマアプリ」みたいな感じですかね。まぁこれじゃステマギリギリか。

The Little Bighorn Hack

もし狙っているコアターゲットにアプローチが難しいならば、まずはアプローチしやすい似たようなターゲットからサービスを育てよう的なハック。Facebookは(結果的に?)最も身近なチャネルの大学生をターゲットとしたネットワークでサービスをPMFさせ、その後さらに広範囲にグロースさせていきましたね。良くある新規事業案でありがちな落とし穴が圧倒的なチャネルの弱さ。どうやってそのターゲットに効率的にアプローチするかはサービスが解決したい課題と同じくらい大事だと思います。

The Share The Good News Hack

ユーザーがそのサービスの価値を実感したタイミングで、そのサービスをemailやsocial mediaで紹介してもらうようアプローチするというハック。この”タイミング”が大事ですね。アプリでもストアへのレビューを促すアラートビューや、同様にアプリ自体のシェアを促すアラートビューを良く見かけますが、どちらも最もユーザーが「このサービスは素晴らしい!」と思ったタイミングでそのアラートを出すかというデザインが大事ですね。

The Winback Hack

非アクティブになってしまったユーザーにインセンティブ付きのemailを送ろう、というECで良くあるあれです。インセンティブのデザインはどうあれ、非アクティブになってしまったユーザーをRe-Activationさせるのはグロースにおいて非常に大事なアプローチだと思います。登録系のサービスならmailで、アプリならPushで、最後のアクセスから特定の日にちが経ったら○○、というのが効きそうです。

The Aha Moment Hack

ユーザーがそのプロダクトを理解し、最初にはじめて大きな価値を感じたタイミングを理解してハックしようというもの。こちらのエントリーで書いた内容ですね。

The Thank You Hack

ザッポスやディズニー、リッツカールトン的なやつです。正直これは小手先かつ定型文でどうにかハックできるものでは無いのですが、短期的なグロースよりも中長期的なグロース/ブランディングにおいて意識的に、戦略的にプロダクトに仕込んでいきたいものですね。evernoteのアンバサダーマーケティングなどはその延長線上を仕組化した事例かもしれません。

The Turbo Hack

とにかくSpeedを上げろというハック。例えばAmazonは表示速度が0.1秒遅いと100万ドルの損失があるそうで、これぐらいの規模になるとそのインパクトは絶大ですね。もちろんAmazonほどの規模がなくとも、「0.1秒でも表示を早く」、そして「サービスがダウンしない」というのはグロースを支えるベース(土台)としてものすごく大事だと思います。

ちなみに本書の著者Jon Yongfookさんは以前日本に10年住んでいてクックパッドさんなど日本の企業にジョインしています。なのでmixiやアメブロなど日本の事例もいくつか出てきたり。さらにこの本はクラウドファンディングによってebookになったそうで、自ら行動を起こすには本当に素晴らしい環境ですね。

なぜ機能するKPIは割合や比率でないといけないのか?

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流し読みしかしていなかった「Lean Analytics」ですが、あらためてしっかり読んでみると仮説と検証/データドリブンのチームを作る上で大切な”指標、計測、分析”の本質がチラホラ。

意外と間違いが多いKPI設定における3つのポイントをメモ。

なぜ、KPIは割合(ratio)や比率(rate)でないといけないのか。

1.Ratios are easier to act on(割合は行動を容易にする)

車の運転を思い浮かべるといい。目的地までの「距離」はとても大事な情報だが、「スピード(時間/距離)」は今の状態を教えてくれる指標なのですぐに運転にフィードバックできる。今のスピードが分かれば、目標の時間までに目的地に着くために急いだり、ゆっくりしたり行動を変えることができる。

2.Ratios are inherently comparative(割合は本質的に比較しやすい)

スピードという指標は、今のスピードと平均のスピードを比較することによって加速すべきか、スローダウンすべきかすぐに教えてくれる。突然のスパイクなのか、長いトレンドなのかがひと目でわかる。

3.Ratios are also good for comparing factors that are somehow opposed, or for which there’s an inherent tension(割合はまた、反対要因や本質的な緊張を保つ上での良い比較指標)

これは車に例えると高速チケットで割った移動距離かもしれない。より早く着くためにはよりたくさんの高速チケットが必要になる。割合は、スピードリミットを越えるか越えないかを提案してくれる。

よくわかるレストラン経営の事例

本書で出てくる”Solare Ristrante”の事例がより分かりやすい。このレストランでは次のKPIをおいています。

KPI=スタッフコスト/合計売り上げ

実はこのKPIは外食産業では良く知られたものだそう。このKPIの良いところは

・スタッフコストも売り上げもどちらもコントローラブル
・業界的にベースライン(30% )が知られている

という点があげられます。この「割合」指標の利点をまとめると

Simple:たったひとつの指標
Immediate:毎晩すぐに確認できる
Actionable:スタッフを変更したりアップセルを試みたり毎晩チューニングができる
Comparable:毎晩比較ができ、業界平均とも比較できる
Fundamental:レストランビジネスモデルの二つの基本的な側面を反映している

KPIにしてはいけない8つの指標

ちなみに本書ではKPIにしてはいけない指標に関しても言及していますので、補足メモ。

Number of hits(ヒット数)
Number of page views(PV数)
Number of visits(訪問者数)
Number of unique visitors(ユニークビジター数)
Number of followers/friends/likes(フォロワー数/フレンド数/like数)
Time on site/number of pages(滞在時間)
Emails collected(集めたメールアドレス数)
Number of downloads(ダウンロード数)

昨日の数字ではなく明日の数字、昨日の顧客ではなく明日の顧客のために、遅行指標ではなく先行指標に注視しましょう。

 > こちらも参考に:Pinterestのグロースチームが活用する4つの分析フォーマット

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