2009年からTopアプリを維持する「WhatAppMessenger」はこんなにスゴかった
ある程度のスーマートフォンユーザーだったら一度はこのアプリのアイコンを見たことがあるのではないでしょうか。
「WhatAppMessenger」は2009年の7月にリリース以来、iPhone・Android・Windows・BrackBerry・Symbianと広域なマルチプラットフォームで展開するメッセンジャーアプリです。
ただし、日本の日本人ユーザーにとってはあまりなじみが無いのかもしれません。それもそのはず、本アプリがウケているのはSMSに都度課金される海外キャリアの料金体系をDisrupt(破壊)したからです。日本ではSMSが無料なのは当たり前ですが、海外では当たり前ではありませんでした。「SMS感覚で無料でメッセージのやりとりができる」アプリをいち早く実現したのが本アプリです。日本にいても海外の友達とSMSをする場合は料金が発生すので、日本にいる海外の人の利用率はものすごく高いですね。
なじみの無い方も、いかに本アプリがスゴいかはこちらの実績を見れば一目瞭然。
▼the highest ranking of AppStore overall by appannie
長くてすいません(笑)
全国でのAppStoreの最高ランキングをAppannieで調べてみると、一部の国を除いてほぼ有料総合で1位を獲得。こんなスゴいアプリをどこの誰が、どのようにしてリリースし運営しているのか。今までほとんど表に出なかった情報がこの度、CEOのJan Koumとco-founderのBrian ActonがFinacial TImesなど一部メディアのインタビューを受ける形で明らかになりました。以下にざっとまとめてみたいと思います。
【実績】1日あたりのメッセージ数は10億以上
250カ国、750のネットワークで利用されているWhatsAppMessengerは2009年末に100万ユーザーを獲得した後、2010年には10倍に増加し、現在のアクティブユーザー数、ダウンロード数は明らかにされていませんが数千万人と言われています。また、1日に50万ダウンロードという実績もあるみたいです。Android Marketを参照するとダウンロード数は1000万以上、レビュー数は約370,000というブッチ切り。またさらに驚異的な数字なのがこの1日あたりのメッセージ数。たとえば1日のアクティブユーザー数が1000万人だったとしたら、ユーザーは毎日100メッセージを送っていることになります。1億だと仮定しても10メッセージ/日。高いアクティブ率と、あらためてモバイルメッセージングサービスの依存度の高さを感じざるをえません。また10億という数字も、Twitterの1日あたりのツイート数が現状2億〜2億5000万と言われていますから、そのスゴさが伺えますね。
【創業】元Yahoo!のVPエンジニア2人で立ち上げ
シリコンバレーのスタートアップならば既にローンチ前に注目を集め、場合によっては巨額の資金調達を行っている場合が少なくありません。そしてローンチのタイミングでは大量のバブリッシングを行い、ネットワーキングにも積極的に動くのが普通だと思います。
Jan Koumとco-founderのBrian ActonはYahoo!時代に出会い、ともに何百万のユーザーを構築するノウハウを得た後、WhatsAppの創業に至りました。KoumはYahoo!を去った後のオフにWhatsAppの最初の構想を思いつき、ファーストローンチの時点では今の自分のステイタスをブロードキャストするだけのアプリでした。その後Antonがジョインし、メッセージング機能を加えたことによってWhatsAppはブレイクしました。
出資関係に関しても謎が多いのですが、設立時期においては元Yahoo!のエグゼクティブシニアエンジニアCharles Kung氏に出資とアドバイザーに就いていたとのこと。公には唯一今年の4月にSequoia Capitalから$8Mの出資を受けたことを明らかにしています。
彼らの主張は一貫しています。
「我々は多くを語る必要はない、すべてはプロダクトが語ってくれる」
カッコイイ。
【チーム】エンジニア17名で開発中
チーム体制は20名、うちエンジニアは17名とのこと。何を隠そう、今になってメディアの取材を受けだしたのは資金調達のためでもアプリのバブリッシングのためでもなく、優秀なエンジニアを採用したいからだそう。ちなみに他3名はカスタマーサポート。マーケティングコストはかけていないので、エンジニア以外いない。デザイナーもいないのだろうか?確かにアプリを見る限りは飾りっ気はゼロですね。
【競合優位性】なぜWhatsAppMessengerな人気なのか?
彼らがサービスをリリースした時、他のメッセージング系サービスとは明らかに異なるアプローチでした。つまりSkypeやYahoo!、MSNはあくまでデスクトップベースでのアプローチ。モバイル対応をしても、あくまでデスクトップサービスがベースとなっています。そこでWhatAppはとにかくモバイルフォーカス、そして「いかにほんの数秒でSMSからWhatAppに乗り換えるか」にフォーカスしてサービスのグラウンドデザインを行っています。
今ではモバイルベースでサービスを構築するのは珍しいことではないですが、当時としてはエッジの立ったアプローチであり、また何よりモバイルキャリアのビジネスモデルとユーザーとのギャップに着目してDisruptしたことがウケたのでしょう。
【マーケティング】マーケティングコストはゼロ
【マネタイズ】ダウンロード課金$0.99
多くのメッセージング系サービスが「FREE」てに提供している中、彼らは課金モデルで成功しています。iOS版は$0.99ダウンロード課金。それ以外のプラットフォームは初月は無料、それ以降は3年あたり$1.99というシステム。コミュニケーション系のサービスは最初のハードル(課金や登録など)をいかに下げて先ずは使ってもらうか、が個人的にはキモだと思っています。なのでAndroid以降で導入している課金システムがベストではないでしょうか。
【最後に】このスタートアップから学ぶことは何か?「Focus」という魔法
co-founderのKoum曰く、
「我が社は広告のことは考えず、ユーザーデータをマーケティングに使おうなどとも考えていない。とにかく良いプロダクトを作ること。だから有料課金のシンプルな仕組みにして後は収益の心配などせずに良いプロダクトを作ることにFocus(集中)した。」
こうやって彼らはすべてにおいて「良いプロダクトを作る」ことだけに集中し、最小限の人数と最小限のマーケティングコストでWhatsAppを創ってきました。
その結果が前述の実績だとするとなんだか魔法のように思えます。もちろんまだまだ知り得ない部分や調査、考察の足りない部分はあるとは思いますが、それ以上に「Focus」ということを徹底することによってこれだけのメリットがあることはまぎれも無い事実ではないでしょうか。
決断とは何かを捨てること。
すべての物事はトレードオフ。
エッジを立て、極端であることこそ、成功への近道なのかもしれません。
[参照]
WhatsApp users get the message | ft.com
WhatsApp bucks convention, quietly builds a messaging titan | GIGAOM
one billion messages | WhatApp Blog
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